蛇が窓から大抵返り血もぬぐわずに入って来るのを彼は放っておいた。

勝手に道具のように扱われるということも
自分には何の責もなく、
投げ出された人形のようにしていればよいという、
愉しみに対する口実にはちょうど良かった。

体温のひくい血の臭いのする体に包まれている時は心地良かった。

蛇は身勝手というより、自分の行動に無頓着だった。
しかし彼から見れば身勝手だ。

何日も放っておかれると思うと、
突然来て何日も秘密の愉しみに耽るので。

嫌悪。

それから

待っている自分に気付いてから、
最初は飢えが、やがて じれることすら愉しみになって行った。

(2002/12/04)

(続)

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